Henry Kyeremeh(ガーナ共和国)
ガーナ共和国財務省 国債管理課 経済担当官
Public Policy Program (2009年修了)
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2005年、ケープ?コースト大学で経済学の学士号を優等学位で取得後、財務省に入省。財務省では複数の職務を歴任、主に経済外交と国債管理に携わる。バラク?オバマ米国大統領が2010年に開始したヤング?アフリカン?リーダーシップ?イニシアティブ(YALI)の最重要プログラムであるマンデラ?ワシントン?フェローシップ2016の2,000人近い候補者に選出。米国で集中的な学術講義とリーダーシップ教育がフェローたちに提供され、オバマ大統領が主催する2016年8月1日~3日の大統領サミットで締めくくられる、6週間のプログラムに参加した。
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‐ご自身の専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。
私は10年以上にわたり、ガーナ共和国で公共サービスを提供する業務に携わってきました。2005年に財務省(MOF)で委任された国務を遂行し、その後、経済担当官補佐として採用されました。その際は、ガーナとスペイン/デンマークの経済協力のマネジメントを支援するよう任せられました。2008年に、公共政策の修士号を取得するためにGRIPSで勉強する機会を得ました。修士課程修了後の2009年、MOFでの仕事に戻りました。東京から帰国後、高給の仕事に就く機会がいくつかありましたが、引き続き公共サービスを提供したいという強い意思があり、MOFに留まりました。
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2009年に仕事に戻ると、外部資源動員課の二国間業務部門(ERM-B)に直ちに配属されました。ERM-Bは、財務省の一部門であり、ガーナの相互開発パートナーからの融資を、助成金や無利子融資といった形で、中央政府の予算を調達する役割を主に担っています。私は、フランス、ドイツ、オランダ、スウェーデン(FGNS)から構成される欧州ブロックを割り当てられ、主な責務として、ガーナとFGNS間の経済協力の調整、契約、管理を支援しました。FGNSは、プロジェクトとプログラムという形態で、約150億米ドルのポートフォリオを保有しています。私が取り組んだプロジェクト/プログラムは、医療から道路、排水、水供給、市場インフラにまで及びます。2016年1月に国債管理課(DMD)に再び配属されるまで、経歴の大部分を経済外交、とりわけ相互協力に費やしました。
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また、多数の技術作業部会のメンバーにもなり、さまざまな公共政策文書に取り組んできました。ガーナ中期国債管理戦略(2013年~現在)、国債持続可能性分析(DSA)におけるレポート(2013年~現在)、援助情報管理プラットフォーム(AIMS)の開発委員会(2012~2015年)、ガーナ援助戦略(現 ガーナ開発協力戦略)の草案作成委員会(2010~2015年)、国際援助透明性イニシアティブ(IATI)の調整のためのタスクフォースなどがその例です。
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‐現在、ガーナ共和国財務省にて国債管理課経済担当官を務めていらっしゃいますが、主な責務についてお聞かせください。
現在は、国債管理課(DMD)で経済担当官を務めています。私の責務は主に、保証と信用という形で中央政府の支援を求めている機関の信用リスク分析を実施することです。基本的には、機関レベルの分析を実施し、保証の発生や国有企業(SOE)への転貸により起こる偶発債務という形で、政府の公開レベルを確立します。現在取り組んでいる事柄として、信用リスクガイドラインの草案作り、リスク評価方法論とリスク定量化方法論の草案作りが挙げられます。年次の中央政府国債レポートや国債分析レポートの作成、中期国債管理戦略や国債持続可能性分析の実施も支援しています。
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‐現在の立場から見て、今後5~10年におけるガーナの展望と課題についてどのようにお考えですか。
安定した民主主義、教育を受けた頼りになる労働人口、政府レベルの確約、厳正な会計、堅固な法体制など、さまざまな好機に恵まれ、中期的に見たガーナ経済の展望は非常に明るいものです。その明るい未来は、国際通貨基金の支援の下、ガーナ政府が実施している堅実なマクロ経済改革プログラムによって支えられており、経済の信頼回復を支援すると期待されています。政府が経済の信頼回復に専心していること、様々な層の公務員が経済の好転のために尽力を固く決意していることは顕著です。課題は、ガーナ通貨の継続的な下落の後に、国債を妥当なレベルで維持することに関係します。財政政策を金融政策の決定合わせようとするニーズにも、ずれがあるように思われます。
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国債、公共支出の削減、原材料への価値の付加、そして経済の信頼向上を支える財政政策改革を遂行することで、ガーナは高中所得のレベルに十分に到達できるはずです。
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‐直面している課題はありますか。また、印象に残っている仕事や、やりがいについてお聞かせください。
私にとっては、挑戦の裏に常に機会があります。私はどのような状況においても前向きであり、職場で直面したいかなる挑戦にもプラスの面を探し求めます。挑戦は大抵つかの間のことですから、あまりくよくよ考えません。
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公共サービス分野における私の経歴は非常に興味深いものだと思います。若手職員だった頃でさえも、省の重要な活動に参加する機会を与えられ、そうした経験を通じて短期間で学び、自信を付けることができました。以来、私は省における中間レベルの専門要員として、中核的な役割を果たしています。自分が関わった重要なインフラが構築されているのを見ると、大きな喜びを感じます。実業家、政治指導者、民間企業の関係者と堅固なネットワークを構築することもできました。
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‐著名なマンデラ?ワシントン?フェローシップ2016にアフリカのリーダー候補として参加されましたね。
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ヤング?アフリカン?リーダーシップ?イニシアティブ(YALI)のマンデラ?ワシントン?フェローシップ(MWF)は、バラク?オバマ米国大統領の最重要プログラムであり、選抜された若手のアフリカ人が、未来のリーダーシップを担う準備を整えることができるよう設計されています。
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参加者はプログラムを通して、リーダーシップ能力を磨き、サハラ以南のアフリカ地域や米国の若いリーダーたちとネットワークを構築できます。いくつかの選ばれた米国の大学で研修を終えると、参加者は、オバマ大統領が主催する3日間のフェローシップ?サミットで、オバマ大統領、重要な米国政府関係者、およびビジネスリーダーたちと交流する機会を得ます。私は厳しい選考プロセスを経て選出されたことに、とても身が引き締まる思いです。
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‐プログラムの一環として米国での6週間のアドベンチャーを終えたところですが、どのような経験をされたのかお聞かせください。
すべての参加者が、大統領サミットを非常に楽しみにしていたと思います。米国の大統領に招待され、さらには関心のある問題について直接質問できる機会が得られるなんて、素晴らしい気持ちです。実際、フェローシップ?プログラムを通して最高の瞬間でした。オバマ大統領はいつもと変わらず機知に富み、聡明で、そのスピーチには心を奪われました。オバマ大統領は、アフリカが強い影響力を持っている実情を述べ、私たち(YALIの参加者)がなぜ、必ずや未来のアフリカに切望されるリーダーシップを発揮しなければならないのかを説明しました。私は、大統領の謙虚ながらも説得力のある見解に恐縮しました。私たちの前に立っている人物が、世界で最も権力のある一人でありながらも、なぜこんなにも謙虚で陽気であるのか、その答えに達することはできませんでした。
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一方、学術プログラム一式は素晴らしい内容で、全体を通して注意深く考慮されており、現在アフリカが直面している大部分の課題におけるニーズを満たすように設計されています。特に私が魅了されたプログラムは、イノベーション工学と呼ばれるコースです。コースの背景にある概念は、生徒がアイデアをイノベーションに変換し、そのイノベーションを伝達し、最終的に商業化するよう促します。その概念は、生活のすべての面において適用できるものです。
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何人かの州知事や重要な政府関係者と交流する機会もありました。また、米国のバー?ハーバーなどの重要な歴史的地域を訪れ、アーカディア国立公園の山やボレストーン山などでハイキングをすることもできました。
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‐どのような経緯で本学を志願されたのでしょうか。本学での経験は、今のご自身の活動にどのように役立っていますか。
GRIPSを選んだ主な理由は、コースの内容が私のニーズを満たしていたからだと思います。コース内容と教職員に注意深く目を通すと、中堅職員のニーズを満たすように設計されていることが分かりました。GRIPSに入学する前に、他の大学で学ぶ機会も提示されましたが、辞退しました。
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GRIPSの教育では、既成概念にとらわれない考え方をするよう求められ、政策設計のスキルを磨くことができます。GRIPSは私の限界を広げ、さまざまな政策手段と、そのような政策を分析するスキルを教えてくれました。GRIPSでの教育を通して、私は確かな技術を習得することができたと考えています。また、世界中の専門家と強固なネットワークを構築する機会を得ることもでき、素晴らしいリソースが集まっています。
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GRIPSで習得した行動指針は、仕事において大いに役立っています。規律に基づくこと、正直であること、努力することといった指針が、私をここまで後押ししてくれました。公共サービスの次の段階の仕事をするときに、これらの行動指針がどのように関係してくるのか、期待しています。
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‐仕事とプライベートのバランスはどのように維持していますか?
仕事以外の時間は、大抵は家族と過ごします。妻と私は娘を授かりましたが、娘と余暇を過ごすのが大好きです。
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また、ガーナのいくつかの大学でボランティアも行っています。最近では、大学の最終学年に在籍する学生への職業指導の他、時に、話題の経済問題や社会問題についての講義を受け持つこともあります。また、高齢者、身体的障害者、社会的弱者を支援しているいくつかの社会集団でもボランティアをしています。
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‐本学での懐かしい思い出はありますか。
日本にいた頃の大切な思い出はたくさんあります。私の人生における本当に素晴らしい時でした。月に1度学生寮のある東京国際交流館(TIEC)で開催されるAFROパーティーでは、私たちアフリカ人が、あらゆる職業の人々と交流し、結びつきを強め、ホームシックになったときも前進し続ける活力を与えてくれました。
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日本の素晴らしい、温かい人々、特にGRIPSの素晴らしい職員の方々を恋しく思います。彼らは極めて効率的かつ高い技能を持って、職務をこなしていました。そのような能力をどこから得ているのだろうとよく不思議に思っていました。
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時々、夜の街に遊びに出かけ、騒がしい東京の夜を体験したことも懐かしく、とても楽しい思い出です。
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‐未来のGRIPS学生達へアドバイスをお願いします。
GRIPSは、経済理論、公共政策の発展、経済モデルに対する理解を深める機会を私たちに提供してくれる素晴らしい学びの場です。さまざまな学問分野の研究の先端を行く一流の学校で学ぶという、格別の栄誉も手にすることができるでしょう。
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GRIPSで学び始めると、私生活と仕事に素晴らしい変化が訪れます。GRIPSには、研究を支援する一流の教職員と最先端の設備があります。GRIPSでの体験は、はっきりとした自我を持ち、あらゆる試みに対して最善を尽くすよう、常に後押しするでしょう。それがGRIPSのやり方です。
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‐本学とのつながりをどのように維持していきたいですか。必博娱乐活動強化についてなにか期待や提案はありますか。
GRIPSは、世界中に同窓生がいるという意味で、国際的な機関だと思います。必博娱乐は、GRIPSが利用できる素晴らしいリソースです。幸運にも、ほとんどの同窓生は影響力の大きい職務に就いています。GRIPSのフォーラムや特別講演などに同窓生を招き、彼らの体験を共有してもらえば、在校生に良い刺激になります。また、地域支部を強化することもできます。
ある同窓生に、さらなる研究のためにGRIPSに戻り、学術発表で教授と協力する機会を提供することで、同窓生とGRIPSとの結び付きがより強いものとなるでしょう。
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