Bounlouane Douangngeune (ラオス人民民主共和国)
ラオス国立大学 ラオス日本センター所長
International Development Studies Program(2002年修士課程修了)
Public Policy Program(2005年博士課程修了)
?
?
?
?
1998年にオーストラリアのクイーンズランド大学で園芸技術を専攻し、応用科学の学士号を取得。その後、ラオス農林省農業局で穀物栽培の技術提携促進渉外担当を務める。2000年9月から2005年3月まで、JICAの奨学金を受け、政策研究大学院大学(GRIPS)のInternational Development Studies Program(修士課程)およびPublic Policy Program(博士課程)で学び、修士号?博士号をそれぞれ取得した。ラオスに帰国後、ラオス日本センターの副所長に任命され、2016年2月からは所長を務めている。
?
‐ご自身の専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。
園芸技術の応用科学の学士号(優等)を取得後、農林省農業局で穀物栽培の技術提携促進渉外担当官として1999年からキャリアをスタートさせました。同局で約2年勤務後、JICAの長期研修奨学金を取得、2000年9月から2005年3月までGRIPSのInternational Development Studies Program で修士号を、Public Policy Programで博士号を取得しました。ラオスに帰国後は農林省からラオス日本センター(Laos-Japan Human Resource Development Institute (LJI))に転籍する機会に恵まれ、2005年8月から副所長に就任しました。ありがたいことに、2016年2月には同センターの所長となりました。その結果、ラオス民間企業の発展支援と同時に、日本からラオスへの投資支援という視点のもと、日本とラオス産業界の人材開発における一層の連携強化に対する総責任者としての任務を担っています。ラオスと日本の知的交流?文化交流促進活動も主たる業務として担当しています。
?
?
‐現在、ラオス国立大学にあるラオス日本センター(LJI)の所長を勤めていらっしゃいますが、当センターの目的等について教えてください。
LJIは2001年5月4日にラオス日本人材協力センターとして発足しました。2010年5月にはラオス政府と日本政府間における技術協力プロジェクトとして、ラオス日本センターに改称しました。同センターは国際協力機構(JICA)とラオス国立大学(NUOL)が共同で運営し、人材開発の分野でラオスと日本の友好関係と提携関係を築き、ラオスのビジネス人材育成と日本語教育と同時に、日本のラオスへの投資を促す中核的研究拠点となるよう努めるという目標を推し進めています。ラオスと日本のみならず、ASEAN諸国との文化交流活動の基盤としても機能していくでしょう。
?
人材開発を継続的に進め、一般社会の需要を鑑み、質の高い知識交流や文化交流活動を企画する、それがLJIの使命です。とりわけ、経営管理マスタープログラム、実践的な経営管理研修やコンサルテーション?プログラム、調査能力や事例を展開させるプログラム、学術交流?文化交流プログラムなどを実施しています。こうした使命を達成するべく、ラオス、ASEAN諸国、日本と広範な地域での連携を推し進めています。
?
‐ご自身の主な責務についてお聞かせください。
センターの所長である私は、センターを持続可能で勢いのある成長軌道に乗せ、社会需要に対応したサービスの提供を継続して行うことに対し、全面的な責任を担わなければなりません。質の高いサービスを提供するため、LJIのメンバー全員がしっかりとしたチームワークで物事を考える環境を作り、強い熱意と責任感、人に対する敬意と公平な態度で助け合い、自ら学び考え、責任感を持つ能力を持つよう努めるべきだと考えています。LJIがラオスと日本の友好関係と協力体制の中核的研究拠点となるというのはこういうことです。ラオス国立大学で主導的立場にある方々は常に、LJIはラオスと日本の友好のシンボルであり、両国にとって共通の資産であるとご紹介いただいています。私もラオス国立大学のリーダーのご期待に応え続けていけるよう、全力を尽くしていくつもりです。
?
‐現在の立場から見て、今後5~10年のラオスと日本の二国間関係における展望や課題についてどのようにお考えですか。
ラオスと日本は経済発展の度合いは大きく異なりますが、両国の国交が樹立した1955年3月以降61年にわたり、密接で友好な関係を維持してきました。特にラオスが外交を盛んにし、国際協力の受け入れを開始するようになった1990年代初め頃から日本はラオス最大の援助供与国(ドナー)であり続けています。日本は今でもラオスのODAドナー国ですが、日本の民間企業によるラオスへの投資も増加しています。またラオスは多くの日本人観光客にとって有名な観光地になってきました。すなわち、両国の関係は与える側と与えられる側の両方の役割を果たすようになったのです。こうしたラオス?日本間の良好な関係は今後5年から10年かけて成長を続けるものと信じてやみません。ラオスは今後も有望な投資国であり続け、日本や他の諸国のラオスへの投資も増大すると見込んでいます。このようにして、ラオスと日本の関係はドナー国と被ドナー国の関係から、経済的に充実したパートナーシップに向け、次第に移行していくと考えられます。
?
?
‐直面している課題はありますか。また、印象に残っている仕事や、やりがいについてお聞かせください。
上述しましたように、2005年8月からLJIに勤務し、10年以上の月日が経過しています。ラオスと日本の友好的な関係と両国の連携を促すという役割を果たすという機会に恵まれ、本センターで勤務できることに対し、心から感謝しています。LJIの活動を盛り上げ、一般社会で絶えず変化する需要に対応し、日本の各種組織や広く日本の皆様からさらなる支援と協力を賜ること、そのすべてが日本とラオスの友好な関係樹立という目標を支えています。
?
日本での4年半の留学生活では、日本には経済大国となる力があり、海外から各種技術を取り入れた結果、生産性を向上させ、経済成長を遂げるに至ったと学びました。こうした海外からの技術をうまく取り入れていくには、教育による質の高い人材育成が必要な条件として挙げられてきました。私はLJIで、日本の経験を引き続き学ぶことができましたし、日本の優れた経営活動をラオスの人々に伝える活動を推進しています。こうした部分は、私にとってやりがいを感じることの一つです。
?
そうしたやりがいを感じる一方、職員の能力開発に関して重大な課題にも直面しています。前述しましたように、LJIの活動はダイナミックであるため、メンバーは変化に対応することが常に求められます。ところがLJIのスタッフはこうした変化に対応する十分なスキルや自ら能力を伸ばす力が不足しています。LJIは今後、スタッフの能力向上という課題を克服する対策を打ち出していきます。
?
?
‐どのような経緯で本学を志願されたのでしょうか。本学での経験は、今のご自身の活動にどのように役立っていますか。
首都ビエンチャンの農林省に勤務するようになってから、世界のごく少数の国家が持続可能な経済成長や発展を遂げているのに対し、大多数の国家が依然として貧困であるという理由について考えてみたいと思うようになりました。特に日本の経済発展史に興味がありました。第二次世界大戦で日本が大打撃を受けたことは当時から知っていましたが、なぜこうした苦境を克服し、東洋諸国で最初に西洋の先進国に匹敵する経済力を身につけた経緯が理解できていませんでした。首都ビエンチャンの奨学金プログラムで、このことをJICAの面接担当官に話しました。第一専攻が園芸技術であり、当時の関心と開発経済学との関連性もわからず、はたして自分がJICAの長期研修奨学金を取得しGRIPSで学べる機会を得られるかどうか、自信が全くありませんでした。1人の奨学生枠をめぐって10人を超える志願者が面接を受けたことも知っていました。JICAの奨学生に選ばれたという知らせを聞いたときの私の喜びようは想像にかたくないと思います。私の疑問を解決する上で役立つ開発経済学をGRIPSで学ぶ機会を得たのは、非常に幸運だったと心から思っています。開発経済学以外にも、日本の文化や社会について十分な知識を得ました。日本の人々や同じプログラムで学ぶ留学生との素晴らしい人脈にも恵まれました。現在私がこうしていられるのもすべてGRIPSのおかげです。
?
‐本学での懐かしい思い出はありますか。
日本の思い出は数多く、日本は第二の故郷だと思っています。冬の雪、春の桜、「蒸し暑い」夏(そして「花火大会」)、秋の紅葉と、とりわけ四季の移ろいが懐かしく思い出されます。GRIPS留学中は多文化の環境での生活を思う存分楽しみ、世界中の数多くの国々から集まったクラスメートと友人になりました。GRIPSの教授連は知識が豊かで教師としての経験が豊富であり、質の高い研究に携わる人々ばかりであるため、豊富な知識を身につけるには最適な学び舎です。GRIPSのスタッフも大変親切に接してくれました。
?
‐GRIPSの学生にアドバイスをお願い致します。
GRIPSは国際的な人脈形成と学問のために最適な場所です。GRIPSの学生として誇りに思いますし、入学された皆さんはきっと同じように感じると思います。
?
‐本学とのつながりをどのように維持していきたいですか。必博娱乐活動強化についてなにか期待や提案はありますか。
GRIPSファミリーの一員になれてよかったと心から思っています。オンラインでの修了生コミュニティや必博娱乐室から定期的にGRIPSの最新情報が送られてきます。このように定期的に送られる情報は修了生全員にとって極めて参考になり、役に立ちます。GRIPS職員全員がこうした有意義なネットワークを維持してくださるおかげで、今後届く情報が今から楽しみです。GRIPSの教授やスタッフ、修了生にラオスを訪れて欲しいとも思っています。
?
?
?
?