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Marcelo Echague Pastore, (パラグアイ)
世界銀行 ジュニア?プロフェッショナル?アソシエイト
Two-year Master's Program of Public Policy (MP2)(2013年修了)
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パラグアイの首都、アスンシオンのフランス系学校にて初等?中等教育を受ける。パラグアイ国立アスンシオン大学で経済学の学士号を修めたのち、フランス国民教育省より任命を受け同国トゥールーズ市にて8か月間外国語教育に携わる。2011年10月、GRIPSのMP2においてさらなる研究を行うため来日。2013年の学位記授与式においては、Public Policy Programの最優秀修了生としてDean's Awardを受賞。在学中にはInternational Student Council(留学生会)のメンバーおよびGRIPSサマープログラムの運営委員などとして意欲的に活動。在日中に世界銀行パラグアイ事務所からオファーを受け、2013年9月よりジュニア?プロフェッショナル?アソシエイトとして勤務。
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-GRIPSに入学する以前の経歴や活動について教えて下さい。
私の母はアルゼンチン人、父はウルグアイ人ですが、私自身はパラグアイで生まれ、海外に旅立つまでの25年間をパラグアイで過ごしました。中等教育までは首都アスンシオンにあるフランス系学校に通い、そこで社会?経済学のバカロレア資格を取得しました。その後、パラグアイ国立アスンシオン大学の学部課程にてマクロ経済を中心に経済学を学び、2位の成績で学士号とディプロマを取得しました。私は卒業前にすでにフランス国民教育省から外国語教師に任命されていたので、卒業後はフランスのトゥールーズ市にある高等学校で8か月間、英語、スペイン語、フランス語を教えました(2010年10月~2011年5月)。これが私にとって初めての海外生活となったのですが、当時の経験は、後の日本での生活において大変役立ちました。また、このフランスでの生活を通して、「海外で一人暮らしをする」ということがどういうことなのかだけでなく、考え方や感じ方の幅を広げることも学びました。フランスでの経験から、教育、仕事、文化、社会交流などの様々な面において、世界が私たちに与える無限の可能性に気付けるようになったと思います。
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国の若手経済専門家として、経済観測やプロジェクトサポート等で国家事務局を支えています。
-世界銀行パラグアイ事務所にてジュニア?プロフェッショナル?アソシエイト(JPA)として勤務され始めたとのことですが、現在の仕事や責任はどのようなものですか?
JPAの主な仕事の中から、手短に以下を挙げたいと思います。
- 国の経済専門家と協力しながら、パラグアイ経済のマクロ的な発展を観測する(JPAは国の「若手経済専門家」と解釈して頂くといいと思います)。
- 特定の国やその他の機関などに対しての融資やその他プロジェクトの準備をサポートする。
- 常駐代表と協力しながらスピーチ、プレゼンテーション、データ提供などの準備を行い、国家事務局の活動や責務を支える。?
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-現在の立場から見て、パラグアイの今後5年から10年の主な発展、また課題についてどう考えますか?
今年、パラグアイは13%のGDP成長率が予測されており、これは周辺地域の中でもずばぬけて高い数字です。この経済発展は、10年間におよぶ安定した経済状況に伴って、投資先の決定のために慎重に経済発展を観察してきた国際投資家を注目させることになりました。しかし、パラグアイには未だ深刻な構造的問題が存在し(脆弱な機関、不十分な統治体制、度重なる政治不安、非常に不安定な第一次産業部門への生産の集中、教育と医療サービスの質の低さならびにアクセスの悪さ、極度な非公式経済など)、経済発展の中長期的な持続可能性に疑問を投げかけています。このような課題は避けて通れるものではなく、したがって、包括的かつ持続可能な経済発展を実現するため、効果的な方法でこれらの問題に取り組んでいくことが求められます。???
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普段なかなか接する機会のない国からのクラスメートを持ち、彼らと交流できたことは、間違いなくGRIPSにおいての最も重要な経験です。?
-GRIPSで学ぶことになった経緯?理由を教えて下さい。また、GRIPSにおいて学んだことの中で最も重要なものは何ですか?GRIPSでの経験は今後の成功に向けてどのように役立つと思いますか?
文部科学省(MEXT)から日本で学ぶための奨学金を受けることが決まって、自分の経歴や専攻に合う大学を探し始めたのですが、日本の大学が提供するコースは経済学にのみ焦点をあてたものが多く、また、英語の使用があまり見受けられないことから国内学生向けである印象を受けました。ですから、経済学、政治科学、国際安全保障学などの分野を組み合わせた非常に学際的な視野を持つGRIPSを見つけた時はとても嬉しかったです。また、GRIPSは私が望んでいた「国際性」が極めて高い大学院であることもわかりました。例えば、インドネシア、ネパール、ウガンダ、モンゴルなど、普段なかなか接する機会のない国からのクラスメートを持ち、彼らと交流できたことは、間違いなくGRIPSにおいての最も重要な経験です。世界の色々な場所から集まったクラスメートたちと密な関係を築けたことは大変貴重な経験であり、今後も私の糧となり続けることでしょう。
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GRIPSでなかったら、現在の職にはつけなかったと思います。?
加えて、International Student Council(留学生会)のメンバーとして、また、教授陣のリサーチ?アシスタント、ティーチングアシスタントとして指導的役割を果たせたこと、様々な方面でトップの方々(公務員、研究者、民間企業の幹部など)と数多くのレベルの高い議論、ミーティング、パネル?ディベートをする機会があったことも、GRIPSで得た素晴らしい経験です。
このような経験は私が成功した契機になりましたし、今後も間違いなく役立つものだと信じています。もし私が進学をしたのがGRIPSでなかったら、世界銀行での現在の職にはつけなかったと思います。GRIPSでの一番の思い出はクラスメート、友人、教授たちとの毎日のコミュニケーションです。彼らと知識、文化、生き方の面でお互いの良い部分を分かち合い、吸収できたことは本当に貴重な経験でした。日本の何が一番恋しいか ―― 三つあります。治安の良さ、人々の礼儀正しさ、すべてがきちんと、機能?運行することです。
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将来のリーダーとの人脈を広げる大きなチャンスを最大限有効利用してほしい。
-GRIPSで学ぶことを考えている人にアドバイスを1つだけするとしたら何ですか?
「GRIPSが与えてくれる、人脈を広げる大きなチャンスを最大限有効利用すること」が私からの主なアドバイスです。これは世界銀行、国際通貨基金、国連、政府機関、名高い学術機構などの一流の機関から送られた教員?教授陣とのネットワークだけではなく、他の生徒とのネットワークも意味します。というのも、GRIPSで学ぶ学生の多くはキャリア形成中の官僚や公務員であり、彼らはそれぞれの国において将来のリーダーになる可能性が非常に高いからです。これは私たちの国の間の密接な社会経済的関係を築くのに役立ち、ひいては世界的規模での持続可能な発展に寄与すると考えます。
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-GRIPSにおいて楽しめなかったことは何ですか?
難しい質問ですが、学内のフィットネスセンターとは別に、運動場やジム、終日営業のカフェテリアがないことが、他の大学と比べた時のGRIPSの弱い所でしょうか。ただ、学生数の規模や食生活の多様性、キャンパスが都心の六本木にあることを考えれば、これらの施設がないことは仕方のないことだと思います。??????
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-今後、どのようなキャリアを積んでいきたいですか?
私は大学や大学院に進むことができたので、自分の分野で一番の専門家になりたいと思っています。専攻が経済学だったので、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)、国際協力機構(JICA)などの国際機関などで働き続けたいと思っています。あと数年で現在のジュニア?プロフェッショナル?アソシエイトとしての任期が終わるのですが、その後はできれば博士課程で学び、トップレベルの経歴と知識を携えた政策決定?立案の専門家として上に挙げたような国際機関に戻りたいと考えています。?????
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-GRIPSとの関係をどのように維持していきたいと考えていますか?卒業生として、GRIPSに何を求めますか?
GRIPSが私をひとりの人間として、また当該分野の専門家として成長するサポートをしてくれたように、私も、自分の地域におけるGRIPSの知名度の促進に役立ちたいと考えています。これはプログラムディレクターのJames Rhodes教授にもすでにお話したことですが、私は様々な面、例えば潜在的な入学志願者との面談、パートナーシップの確立、合同企画、地元機関との共同研究などにおいて、GRIPSの役に立ちたいと心から思っています。また、GRIPSから私たち卒業生に、GRIPSの発展、研究、学会、就職の機会(GRIPSでも、その他世界中の機関でも)、データベースへのアクセスなどについての情報をぜひ定期的に送ってもらいたいと思っています。?
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-パラグアイでのGRIPSのプロモーション活動について教えて下さい。また、GRIPSの卒業生ネットワークをどのように活用するかについて他にも提案はありますか?
これまで、私が以前に働いたことのあるパラグアイの財務省、中央銀行、国立証券委員会などの公的機関においてGRIPSのプロモーション活動を行うことができましたが、最近もっとも有意義だったのは、パラグアイ国立アスンシオン大学での活動です。ここでは資料を配るだけではなく、パワーポイントを使ってGRIPSならびに日本への留学についてのプレゼンテーションを行い、学生も大変喜んでくれました。GRIPSのプロモーションに関しては、もっと色々なことができると考えていますし、そのための努力は惜しまずにするつもりです。私からの提案は、ラテンアメリカ、北アメリカ、西ヨーロッパ等の(比較的「忘れられがち」とも言える)地域において、GRIPSとこれらの地域の大学や、職員をGRIPSに送ることに関心のある公的機関とのつながりをより深くもつといいと思います。そうすることで、地域のGRIPSの卒業生ネットワークはより強固になるのではないかと考えています。
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