Raphael Owino Otieno, (ケニア)
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債務管理プログラム ディレクター
東部?南部アフリカマクロ経済金融運営研究所(MEFMI)
Public Policy Program (2002年修了)
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ジンバブエのハラレ市に拠点を置く、13ヶ国の加盟国から成る能力養成機関、東部?南部アフリカマクロ経済?金融管理研究所(MEFMI)の債務管理プログラムディレクター。2002年、GRIPSでPublic Policyの修士号を取得。ケニアのナイロビ大学において経済学の学士号を取得(Hons)。公共財政とマクロ経済分析において幅広い経験を持つ。これまで、財務省、企画省のエコノミスト、ケニア公共政策調査分析研究所(KIPPRA)の政策アナリスト、ケニア中央銀行のシニア研究官およびエコノミストとして勤務するなど、ケニアの公共部門において様々な上級職を経験。公的債務管理に携わってきた期間は16年を超える。妻と3人の子供がいる。
財務省?企画省で勤務していた際には、経済担当事務官の個人秘書、そして企画大臣の個人秘書へと昇格。
2006~2007年には、ケニアが2030年までに中所得国入りすることを目指した長期開発計画「ビジョン2030」の作成に、専門チームのメンバーとして携わる。
2011年6月、世界銀行債務管理ファシリティ(DMF)の専門顧問団(TAG)団長に選出される。DMFは、低所得国の債務管理改革と能力養成を実施するために設立されたドナー出資型の信託基金であり、TAGのメンバーは、世界銀行、IMF、国際連合貿易開発会議(UNCTAD)、英連邦本部、OECDの職員、さらには東部?南部アフリカマクロ経済金融管理研究所(MEFMI)、西アフリカ金融経済管理研究所(WAIFEM)、ラテンアメリカ金融研究センター(CEMLA)などの地域機関の職員から構成されている。
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「公的債務管理」のプロフェッショナルとして
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-あなたの専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。
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私の専門分野はマクロ経済政策および財政政策で、現在は特に公的債務管理に重点を置いています。これまで、マクロ経済のモデル化や政策シミュレーション、財政?金融政策分析、主要なマクロ経済指標(金利、インフレ、為替レートなど)の分析に広く携わってきました。債務管理の分野に携わるようになったのは、1995年にエコノミストとしてケニア政府で働き始めた時からです。ケニア政府での最初の任務は、公的債務と国際収支の動きを観測?分析することでした。これをきっかけに公的債務管理に強い関心を持つようになり、GRIPSでの修士論文においても、「ケニアの公的債務の持続可能性:マクロ経済モデルに基づいた分析」というテーマを選びました。
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-現在、東部?南部アフリカマクロ経済金融運営研究所(MEFMI)に勤務されています。MEFMIの活動や任務について教えてください。
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MEFMIは東部?南部アフリカの13ヶ国で構成される、地域的な能力養成機関です。現在、アンゴラ、ボツワナ、ケニア、マラウイ、レソト、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエが加盟しており、ジンバブエのハラレ市に本部を構えています。
MEFMIの任務は、「持続可能な人的?組織的能力を養成し、中央銀行、財務省、企画省、その他の関連機関における堅実なマクロ経済?金融管理のためのベストプラクティスを促進すること」です。
MEFMIは、特に以下の目的に焦点を当てて活動しています。
- 加盟国のマクロ経済、金融、公的債務管理の面における持続可能な人的?組織的能力の養成
- 健全で安定したマクロ経済?金融管理政策、体制、データベースの開発及び実現の促進
- 加盟国の上級行政官やその他出資者の、マクロ経済?金融管理に関する最新の情勢?動向に対する意識向上
先に述べた任務からもわかるように、MEFMIの対象機関は中央銀行、財務省および開発企画省になります。卓越した研究拠点として加盟国により設立されたMEFMIは、対象機関の職員に対して研修を行うだけでなく、マクロ経済?金融政策の効果的な実施のための構造?体制づくりのサポートも行っています。
具体的には、短期コースやセミナーの開催、国家政策諮問団の派遣、専門調査の実施、マニュアルやガイドラインの作成などを通して、上に挙げた目的の遂行を目指しています。
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-債務管理プログラムディレクターとしての主な任務や職務はどのようなものでしょうか。
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以下がディレクターとしての主な任務です。
1)公的債務管理に関する能力養成プログラムの構築と実施
2)債務戦略の策定?実施、制度改革、債務データベース管理システムといった債務管理問題に関する加盟国への助言
3)各加盟国に派遣される政策諮問団の統率
4)公的機関の職員を対象とした、地域単位もしくは国単位でのマクロ経済?金融管理に関する研修プログラムの実施
5)関連研究分野の特定と研究のコーディネート
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「アフリカの開発資金調達のためには、公的債務管理体制の整備が必要です。」
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-現在の立場から見て、東部?南部アフリカの今後5~10年の主な発展、また課題についてどう考えますか?
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債務救済策が功を奏したため、東部?南部アフリカにおける多くの国は1990年代後半から2000年代前半にかけて起こった債務危機からすでに回復しています。しかし、累積債務問題は再び懸念すべきレベルまで深刻化してきている兆候が見られます。また、2008年の金融危機の際に、多くの国が財政刺激策を採った結果借金を増加させたため、この債務問題は更に悪化しています。加えて、2015年までにミレニアム開発目標(MDGs)を実現するため、現在もまだ多くの発展途上国が貧困撲滅のための開発資金を必要としています。東部?南部アフリカの多くの国はこれまで貧困問題の解決に向けて著しい進歩を遂げてきましたが、それでも深刻な貧困問題は根強く存在し、いくつかの国では、全人口の50%以上が1日2(US)ドル以下で生活しているという状況です。従って東部?南部アフリカの国々は、開発資金の調達のために借金をする一方で、この公的債務を持続可能なレベルに保たねばならないという課題に直面しています。東部?南部アフリカの多くの国が、債務管理改革の実施において素晴らしい進歩を遂げてきましたが、いくつかの分野においてはまだ脆弱な部分があります(具体的には法的枠組み、内部および外部の公的債務監査、借入保証管理、転貸とデリバティブ、債務管理とデータセキュリティなど)。最近の債務管理評価によれば、東部?南部アフリカの国のほとんどが、借り入れ(特に外部からのもの)を管理?統制するための有効な法制度を備えていますが、内国債管理に関しては深刻な法の欠缺が見られます。従って、この問題に対する認識を高め、各国の債務管理に関する法の改善を促すための努力がもっと必要です。また、借入保証と融資に関する政策と手続きの文書化や、金融派生取引のためのガイドライン開発といったものは、今のところ全く整えられていないため、改善していく必要があります。
東部?南部アフリカの国が現在直面しており、今後5~10年の間にも直面することが予想されるもうひとつの深刻な課題は、政府機関における人材不足です。この問題は政府省庁における離職率の高さによってさらに悪化しています。
さらに、開発資金源を多様化するためには、民間部門からの融資を可能にする官民パートナーシップ(PPP)の役割が非常に重要になります。PPPにより、国は開発資金の面では絶好の機会を得ることができますが、それと同時に偶発債務が生じる可能性もあります。したがって、各国は偶発債務の発生を極力抑えられるようなPPP取引の方法を構築しなければなりません。
しかしながら、東部?南部アフリカ地域には国内債券市場育成の大きな可能性があり、これは開発資金のための債権発行にもつながります。この国内債券市場の育成と利用はいくつかの国においてはすでに順調に進行しています。また、エネルギー産業、観光業、製造業には国外からの投資を呼び込む大きな潜在力があるほか、建設?運営?譲渡(BOT)方式による物的なインフラ整備にも投資の可能性があります。これらの投資を誘致できる国は、確実にGDP成長率および開発レベルを大きく引き上げ、さらに公的債務リスクも低下するでしょう。
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自立した人材確保に向けて、日々オフィスと現場を飛び回っています!
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-これまで職務で直面した一番の課題と、これまでのキャリアの魅力またはやりがいについて教えてください。
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私は立場上、オフィスで運営業務をこなすための十分な時間を確保しつつ、進行中のプログラムの実施のために現場にも出なければなりません。この2つのバランスをうまく保つことが最大の課題です。仕事柄、出張が多いのですが、それと同時にオフィスでの運営業務もこなさなければなりません。MEFMIのフェローシップ?プログラムなどを通して、若手の専門家たちが公共政策分野での「新米」から世界に通用するエキスパートへと成長していく過程を見るのは大きな喜びです。こうして若手の専門家たちの成長を見ていると、いつか東部?南部アフリカは、マクロ経済?金融政策の策定と実施に必要な人材を、自分たちで確保できるようになるだろうと感じます。
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GRIPSでの時間が、新たなキャリアへの扉を開くことでしょう。
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-GRIPSで学ぶことになった経緯を教えて下さい。
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実はGRIPSとの出会いは偶然だったのですが、この偶然は私にとって一生の宝物です。経済学もしくは公共政策の分野で修士号を取れる大学を探していた頃に世界銀行のある職員に相談をもちかけたところ、彼は私に大学のリストをくれました。リストのほとんどはヨーロッパ、アメリカもしくはカナダの大学だったのですが、そこに日本の埼玉県にあるGSPSが載っていました。インターネットで検索したところ、GSPSのプログラムを大変気に入り、出願しました。
私は奨学金が得られることを条件に、3つの大学に出願しました。GRIPS(当時はGSPSでした)の他には、ウガンダの首都カンパラにあるマケレレ大学(アフリカ能力養成財団(ACBF)による奨学金に応募)とタンザニアのダルエスサラーム大学(アフリカ経済研究コンソーシアム(AERC)による奨学金に応募)に出願しました。幸運なことに3つの大学すべてから奨学金付きのオファーをもらい、その中から文部科学省(当時の文部省)から奨学金が給付されるGRIPSに決めました。
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-GRIPSにおいて学んだことの中で最も重要なものは何ですか?またその経験は今後の成功に向けてどのように役立つと思いますか?
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GRIPSにおいて文化的に多様な学生や教職員に囲まれた経験は、現在国際的なコミュニティーの中で様々な人たちとコミュニケーションを取りながら仕事をする上で大変役に立っています。また、International Student Council(院生会)の会長をつとめた時に学生や教職員に対応した経験は、その後の私のリーダーシップにおける姿勢を形成してくれたと感じています。
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私にとって、GRIPSは真の "Gateway to Global Leadership"でした。
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-現在GRIPSで学んでいる学生にアドバイスをお願いします。
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GRIPSで得られるチャンスは二つとない、かけがえのないものです。ですから、このチャンスを最大限活用して下さい。GRIPSは素晴らしい大学院です。GRIPSでの時間を有意義に過ごすことで、公共政策や研究の分野において、国内およびグローバルなレベルで、新たなキャリアへの扉が開かれることでしょう。すべての選択は、あなたの手の中にあります。
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-GRIPSの修了生ネットワークをより強固にするためのご意見はありますか。
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学生募集のためのパンフレットの配布など、GRIPSの情報を広めるための活動に修了生ネットワークをもっと活用できるのではないかと思います。また、このネットワークを通して、世界の様々な地域において最も需要のある大学院教育の分野、もしくはGRIPSが重点を置くべき分野についてのアイデアを引き出すことができるのではないかと思います。
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この記事は2011年10月に本学英語サイトAlumini of the Monthに掲載されたものです。