Fabian Bigar, マレーシア
マレーシア首相府 業績管理?実施局(PEMANDU)アソシエイトディレクター
Public Policy Program ('02)
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現在の任務にあたる以前は、厚生省の専門官、医療政策?医療サービス貿易を担当していました。
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―あなたの専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。
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私の専門は医療サービス貿易の関連分野なのですが、現在の「業績管理」という分野には、別の役職に就いていた時に2つの異なる任務を兼任したことをきっかけに携わるようになりました。去年の4月に現マレーシア首相が就任した際、彼は政府サービスの提供システムを改革することを目的に、政府変革プログラム(GTP)を導入しました。そしてその結果、すべての閣僚たちに、各々が達成すべき主要業績指標(KPI)が与えられることになりました。その後事態が展開し、私は主要業績指標を担当する厚生省の専門官となったのです。それと同時に、私はもうひとつの任務として医療政策および医療サービス貿易も担当することになりました。その後、現職の業績管理?実施局PEMANDUのアソシエイトディレクイターを務めるいきさつとしては、PREMANDUのCEOに対して厚生相の主要業績指標についてのプレゼンテーションを発表するように言われたことがきっかけでした。
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行政?民間のメンバーで構成されるPEMANDU、「公共部門における大胆な変革」の舵を取る。
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―Bigarさんは最近、行政府から業績管理?実施局(PEMANDU)へ「省別重点分野(M-KRA)」のアソシエイトディレクターとして出向されています。PEMANDUとその目的について教えて頂けますか?
PEMANDUは、政府変革プログラム(GPT)を成功させるため、その実施状況を首相府の管轄下で監督?評価する内部コンサルティング部門です。 また、国家重点分野(N-KRAs)と省別重点分野(M-KRAs)の両方の展開を促進しサポートするため、政府省庁と協力しながら活動しています。PEMANDUは行政府および民間部門から引き抜かれた職員によって構成されたハイブリッド型組織です。ちなみに頭字語のPEMANDUはマレー語で「運転手」を意味し、これはPEMANDUの役割である「公共部門における大胆な変革の舵取り」とも意味合いが合致しています。
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影響力と即効性のある結果を出すように省庁を絶えず促す
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-アソシエイトディレクターとしての、ご自身の主な任務や職務はどのようなものでしょうか。
PEMANDUの省別重点分野チームは、内閣の21の省庁(国家重点分野を担当する省庁は除く)の省別重点分野の実施状況を監督、追跡する責任を負っています。私たちは各省の主要業績指標の担当者と協力しながら必要なサポートを随時提供し、影響力と即効性のある結果を出すように省庁を絶えず促すことですべての目標を達成できるように努めています。
国家重点分野と省別重点分野の実施状況を追跡する他にも、PEMANDUの各チームは、政府が直面している特定の問題解決のための研究所の運営を任されることがあります。例えば公営住宅や補助金の適正化などの問題に対し、解決策を見つけ、その実施方法(スケジュール策定、目標設定、戦略化など)を計画するのが研究所の役割です。研究所は機関の垣根を超えた専門チームで、50人から70人の公務員が任務にあたっています。
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-現在の立場から見て、マレーシアの今後5年から10年の展望、また課題についてどう考えますか?現在、マレーシアの最大の懸念は「中所得国の罠」に陥り、そこから抜け出せなくなるのではないかということです。かつてマレーシア経済と肩を並べていた韓国経済や台湾経済は急成長し、今や私たちの前を走っています。競争力を維持するためには、マレーシアは抜本的な改革を行わなければなりません。政府改革プログラムはこれまでの政策の中でも最も大胆なものであり、このプログラムが打ち出している対策を実行する政治的意思があれば、マレーシアは大きく成功できるのではないかと思います。また、マレーシアはかつての植民地宗主国から優れた統治制度を引き継いでいます。あちこちを調整して少々の我慢を受け入れ、万事がうまく行けば、私たち公務員はその任務を遂行できると思います。一方最大の課題は、人々の改革への抵抗です。マレーシアの人々は現状に非常に満足しており、習慣や生活スタイルを変えることを彼らに求めることには難しい側面があります。
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毎日の仕事の中での積み重ねは、一度きりの栄光に勝る
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―これまでの業務で一番苦労したことはなんでしょうか?またこれまでのキャリアで一番やりがいを感じたことはどんなことでしょうか。
不思議なことに、私は私個人が成し遂げたことについてはあまり考えたことがありません。そして、何かの賞や一度の栄光よりも、毎日の仕事の中での少しずつの積み重ねの方がずっと大事だと思っています。誇りに思った瞬間をあえて挙げるのならば、それは国際連合ジュネーブ本部に初めて足を踏み入れた時のことでしょう。また、この仕事でのやりがいに関して言えば、国をひとつにまとめているものが何であるのかを理解し、その仕組みの設計に携われるということだと感じています。
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―GRIPSで学んだことの中で最も重要なものは何ですか?日本での経験がキャリアに与えた影響はありますか?
「要領よく働く」のではなく「一生懸命働く」ということです。(手抜きをして)要領よく働くことは短いスパンにおいてはうまくいくかもしれませんが、一生懸命働くことは一生の糧になります。日本に住んでいた時には、日本人の多くが長時間仕事をするということに気がつきました。私は、仕事となれば一意専心に努めるその姿勢を尊敬しており、こういった側面においては日本の人々を手本にして精一杯努力していきたいと思っています。
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―現在GRIPSで学んでいる学生にアドバイスをお願いします。
今までとは違うこと、何か特別なこと、そして自分にとって居心地の良い領域から出るチャンスを与えられたら、ためらうことなく飛び込んでください。それによってもたらされた変化が日常業務や自分の生活スタイルをみだすことがあっても、過去を振り返ってはいけません。苦しくても、何か素晴らしいことが起きようとしているはずです。
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これまで携わってきた任務の一例
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- マレーシア?アメリカ合衆国間の自由貿易協定交渉におけるサービス貿易作業部会メンバー(2006~2008)
- マレーシア?アメリカ合衆国間の自由貿易協定交渉における知的所有権作業部会メンバー(2006~2008)
- 公衆衛生、技術革新および知財に関する政府間作業グループ(WHOジュネーブ本部)のマレーシア代表(2006年12月~2008年4月)
- 医療サービス貿易WHO専門家会議(ニューデリー、2007年3月6~8日)
- サービス貿易に関する一般協定のマレーシア交渉代表団メンバー(WTOジュネーブ本部、2007年4月17~27日)
- サービス部門に関するWTO交渉の二国間会合マレーシア代表団メンバー(WTOジュネーブ本部、2008年3月10~14日)
- ASEAN?EU自由貿易協定(FTA)合同会議における知財に関する非公式会談のマレーシア代表団メンバー(バンコクおよびハノイ、2008年)
- マレーシア?ニュージーランド間の自由貿易協定交渉におけるサービス貿易作業部会メンバー(2009年)
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